バイク用ジャケットと言えば今日日カジュアルなナイロンジャケットが一般的だが、 昔ながらの革を使ったレザージャケットって実際どうなん?
という訳で、最近ちょっと革製品に興味が湧いてきたついでに革ジャケを一つポチり、どんなもんなのか実際に使って試してみよう。
MY NEW GEAR…
ポチったのはこのライダース。メーカーはもちろん
コミネだよね…!
信頼と安心のいつものコミネ ライダース02-534。コミネからは絶対に逃れられない!
さて、こいつはパンチングメッシュは無くインナーウォーマーも無く、ガチ冬はさておき秋冬春用で使えそうだ。サイズは中にプロテクターやダウンジャケットを着込む事を考えて2つ上のXL。
寒くて着ぶくれコミネマンになってしまったが、ウルトラライトダウン+セーター+コミネSK-688プロテクターをまとめて着込んでもXLサイズならまだ多少の余裕があり、東北の冬に使いたいなら2サイズ上で間違いなさそう。
気温4度の中にこれ一枚じゃ流石に寒いが、風防性能は高いので中にガッツリ着込む前提なら問題ないだろう。
インプレ
まずメリットから。
牛さんの革はなんと言っても摩擦強度、磨耗強度、裂け強度への耐性がバチバチに高い。
こういう超スピード!?の転倒はそうそう無いと思うが、バイクから放り出されて地面に叩きつけられ地面を滑った時、石油系の化学繊維や糸で織った服だとアスファルトの摩擦や摩擦による熱に耐えきれず、解れてビリビリに引き裂かれたり、摩擦熱で溶け消えてしまう。
衣服が逝けば次は素肌。素肌 vs アスファルトのドリームマッチの結果は言うまでもなく、控えめに言って人間大根おろしの完成だ。
(※人間大根おろしを防ぐためインナープロテクターがあるので、常識的な速度で散る程度ならそこまで心配しなくてもよい)
一方の革。
コラーゲン繊維とかいう強力なタンパク質の塊で出来ているため、熱を加えても固くなるだけで、化学繊維のように溶けたり布の様に解れ破けることは無い。キャンプの焚き火で使う本革の耐熱グローブや、時速300kmを超えるバイクレースで使われる革ツナギなど、過酷な環境で革が使われている事からも、革という素材のチートさがわかるだろう。
そして牛さんの革は硬さにも定評があり、風圧でバタつかずライディングの姿勢に合った立体裁断がされているおかげで、体格に合ったものを着用すれば走行も大変楽になる。きちんと手入れしていれば十数年は平気で長持ちし、何かと酷い目に合うライダーに革製品というのはとても合理的なのだ。
デメリット
ほんじゃあ革は最強エンチャント付きチート素材なの?というと、んまぁそう…実際に装備して走ってみた感想は
重い
硬い
動きづらい
まず重さ。具体的にどんぐらい重いのかと言えば、コミネ革ジャケ02-534が約2.1kgで、愛用しているコミネのナイロン製ウィンタージャケット、コミネJK-581が約1.7kg1.4kg。
比較するとその差は0.7kg。数値だと大した差ではないし、革ジャケも普通に着ている分には特別重たいとも感じないのだが、クソ寒いなか下道200kmちょい走るとジャブの様にじわじわと重さが効いてきた。
たかだか200km走っただけなのに、なんかこれ重くて肩凝らね?とか、動きづらいし肩も回せないとか、腕の可動範囲が狭く信号待ちでファスナーの上下すら出来ないとか。まるで大鎧と当世具足、フルプレートアーマーとチェーンメイルのように、ナイロンジャケで出来ていたこと、ナイロンジャケに有った快適性が革にはないのだ。
革とナイロンの違いはひたすら堅牢さを追求するアライと、機能性・快適性を追求したショウエイの思想の違いみたいだな。どんだけ頑丈なヘルメット作ってもライダーを疲労させ集中力を欠かせたんじゃ意味がないでしょという奴で、革とナイロンにも同じことが言える。
結論として、革は散った時に頼りになる優秀な素材だが快適性はナイロンに軍配が上がる。
「レザー製品って男の子だよな」
という今考えた名言があるように、黄金の鉄の塊で出来た革は見た目も良く、近所にふらっとお○んぽツーなら革ジャケット、厳密な体力管理が求められるあへあへ長距離ツーならナイロンジャケットが最適だろう。
バイク用のライディング装備とは、バイクという時として危険で過酷な物を乗るための作業着という一面もある訳で、適材適所で使い分けていきたい。