ウチのブログ名指しでレビュー依頼をする企業が居るのか…（困惑）
という訳で、今回は「自社製品の新型インカム送りつけるからレビューして❤」と狂ったPR依頼があり、そのたまげた勇気に敬意を評して何か書く。
しかしながら、おもんない提灯記事書いてもおもんないし、期待して（意味深）依頼されたのだろうからこちらも抜かねば無礼というもの。
念のためノーブレーキ（直喩）でやるけど本当にええの？と先方に了解はきちんと取ってあるので提灯要素と淫夢要素は有りません。
レビューほんへ
さて、今回レビューするのはジェスマイクとかいう謎中華メーカーのX6Sというバイク用インカム。
インカムとはヘルメットに付けるBluetooth付き簡易無線機で、他のライダーと意思疎通をしたりスマホと連携して音楽を聞いたりする事ができる社外パーツだ。
今やバイクの必須アイテムと言っても過言ではないだろう。
型番：バイク用ヘルメットインカム X6S
公式ストア：https://www.jp.jesimaik.com/特徴：
主な特長：
1.QIK-MESH接続技術：独自開発により、インターネットに依存せず音飛び・音切れに強く、通話の安定性が大幅に向上。
2.最大6人同時通話・自動復帰機能：最大2,000mの通信距離、切れても自動で再接続。
3.“聴きトーク”機能：Qualcomm製Bluetoothチップを2枚搭載。音楽やナビを聴きながら同時に通話が可能。
4.超スリムスピーカー（7mm）：業界最高クラスの薄型で、長時間装着でも耳が痛くなりにくい。
5.騒音抑制・HiFi高音質：DSP＋CVC8.0技術で、騒音を抑えつつクリアな通話音質を実現。
6.ワンタッチグループ接続：複数人での素早い接続が可能。
7.大容量バッテリー（800mAh）：最大待機時間480時間、連続通話22時間、音楽再生20時間。フル充電は1.5時間。
8.その他の特長： - 日本語音声対応
- 技適マーク取得済（技適番号：220-JP7619）
- IP67防塵防水
- FMラジオ・音楽共有機能
- 1年間の品質保証／日本語アフターサポート付き
よし、案件特有の説明が終わった所で、ガバガバ翻訳洋ゲーみたいなクソダサフォントが輝く箱を剥き、早速中身を見ていこう。っていうか58gとか重たいなこいつ。
（余談だが郵便局留めでインカムの発送をお願いしたら何故か佐川急便の送り状で局留め発送され、佐川営業所のおにいたまと宇宙猫になる珍事があった。おう盤外戦術やめろや。）
ほう操作の早見表まで付いてるのか。
令和最新版の謎中華にありがちなおもしろ日本語など不備は特に見られない。トリセツ読みなが操作方法を確かめていくと…何だか表記ブレが結構多いな？
「ボリュームダイヤルを下げる」を次のページでは「音量ダウンボタン」と呼称したり、細かく読み進めていって1行だけ出てくる「2人モード」とかいう機能が他社インカムとの接続に必須だったり、用語解説が不十分でやや分かりづらい。
マスツーあるあるネタで、複数人で集まるとまず最初にインカムが接続方法が分からんとか、なんか知らんが繋がらないとか始まり大体わちゃわちゃする。
そんな中この細かく分かりづらい説明書を読ませるのは流石に酷ではなかろうか。もちろん早見表は付いているが、恐らく一番多用するであろう他社インカムとの接続方法が書いていないため微妙に使いづらい。
本体を取り出す。
写真ではチープだったが実物は艶消し未塗装樹脂が落ち着いた雰囲気を醸し出し意外と良い。変にサイバーチックなトゲトゲしたデザインでもないため、クラシック系ヘルメットにもまぁ合うんじゃなかろうか。
よしよしちゃんと技適マークもあるな。技適警察もニッコリ。
電源を入れると…このクソデカジェスマイクのロゴが光るのか（困惑）
落ち着いた外装に対し光るロゴの自己主張が強く普通にダサい。光ったことで一気におもちゃ感が増してしまい褒めるところが消え失せたんだがこっからどうするよ。
まぁLEDキラキラのゲーミングPCが好きな層も居るし、好みによるんじゃないっすかね（適当）
次に前のボタンを押すとインターカムモードに…
おいエレクトリカルパレードし始めたぞコラ
何が起きたかと言うと、インターカムモードにしたらこのクソデカジェスマイクロゴが緑青に高速点滅しはじめて、しかも結構光量がデカいからエレクトリカルパレード状態。
こんなチカチカと光らせながら走るの…？天下の公道の中の中を…？
まぁ擁護するとしたら、晴れてる昼間なら太陽光で相殺されあまり目立たないような気もする。あとバイクが電飾でお派手ならば釣り合いが取れるかもしれないな。
だが薄暗くなったり夜中だったり、落ち着いたクラシックなバイクだったり、そういう状況でジェスマイク高速チカチカの顔面エレクトリカルパレードしながら走るのは流石に笑ってしまうかもしれん。
だが安心してほしい、多用するであろうユニバーサルインターカムであればエレクトリカルパレードしないで済むぞ。
せっかくだから愛用している天下のミッドランド製インカムRUSH RCFと並べてみよう。
他社製品を出していいのかって？こまけぇこたいいんだよ。
んー最初ミッドランドダセェなと思ってたけど、こうして並べると洗練されてるな。
いやね、流石にamazonでX6S 2.2万 vs RUSH 3.1万円と実売価格に約1.1万円も差があるため比較すべきではないよな…と思ったのだが、ジェスマ公式HPを見たらX6Sが4万円で売られておりRUSHより9千円高いじゃねぇかと一切の遠慮が吹き飛んだ。
君の父上がいけないのだよ。
よし、一先ずエレクトリカルパレードには上からビニールテープでも貼って封印を考え続きを見ていくぞ。
本体をいじくり回して観察。
２ボタンと音量レバーは革グローブを付けた状態でも押しやすい大きさで、しかも操作レスポンスも早く好感触。流石にスマホを接続した遠隔操作中のレスポンスはイマイチだが、この機種に限らずそういう物だから仕方がない。
X6Sは今どきのインカムの様に専用アプリは存在せず、昔ながらのボタン長押し系で操作する。
ボタンを押すと聞こえるジェスマロゴ並にクソデカい鼓膜をぶち抜く爆裂操作音は何とかしてほしいが調整は無理だ。大人しくこちらも大声を出して対抗しよう。あああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！！（ﾌﾞﾘﾌﾞﾘﾌﾞﾘﾌﾞﾘｭﾘｭﾘｭﾘｭﾘｭﾘｭ！！！！！！ﾌﾞﾂﾁﾁﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾁﾁﾁﾁﾌﾞﾘﾘｲﾘﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞｩｩｩｩｯｯｯ！！！！！！！ ）
（※ちなみにクソデカ操作音やめてくれと指摘したら改良してくれたそうで、2025年4月26日以降に販売されるバージョンから令和最新改善版に切り替わるそうだ。）
充電端子とマイク・スピーカー端子は共用でUSBタイプCを採用している。
これだと充電しながら通話は不可能になるが、満充電で連続通話22時間と公式サイトにあるし、バッテリー残量について特に心配する必要はなさそうだ。
むしろ気になるのは防水性。
公式HPにIP67”相当”の防水性とあるのだが…ほんとぉ？
怪しんでるのはタイプC端子周り。このタイプCには未使用時に使うゴムカバーだけで、それ以外のパッキンは一切付いておらず、マイク・スピーカーを接続してしまうと隙間が見える。
IP67って確か水深1mに30分+全方位から噴流水+完璧な防塵性能を持つはずだが…
いや疑うなかれ。ジェスマがそう言うならそうに違いない！
今までボロカスに言った分もいっぱい食え…
ただ今より耐水訓練を開始する！！
晴男を自称する当方は不思議なことによく大雨に降られる。
洒落にならんゲリラ豪雨に遭遇してSENAのガバガバ防水インカムを破壊した回数は2回ぐらいあり、このX6Sもガチ防水なのかガバ防水なのか、そこんとこ確かめなければ安心して悪天候強行軍ツーリングに使えようはずがない。
お覚悟を。
と言っても理不尽なテストはしない。
台風接近中に丸一日雨風に打たれたり、梅雨の九州で雨にボコされたりした日の再現は流石に過酷すぎると思うし、穏便かつ公平に当方が過去に体験した一番ヤバい秒で道路が川になるレベルの雨をちょっぴり再現し喰らってもらうだけだ。
できるよな！拓也！
まずはシャワーで水をぶっかけ全てを破壊する。死ぬがよい。
ほう、この水量を耐えるか。
バケツの水かさを見てほしいのだが、普通にぶっ壊す気でやったのに持ちこたえた。
じゃあ少し休憩を与えるから、3分間水底に沈め！（情け無用）
いよいよもって死ぬがよい。
な、なぜ生きている！？
念のためインカムあるあるの「水没して1時間後に突然死」も確認するためしばらく放置してみよう。
生きてるぅ＾～↑
圧倒的じゃないかX6Sは…
ボタンの反応やマイク・スピーカーも問題なしで素直におっぱげた。こいつの防水性は本物であった。ここまでシバいて浸水しないのなら、おそらくかなりの悪天候にも耐えると思われる。
やりますねぇ！
音質・オーディオ類
スマホに繋いでなんか再生しスピーカーの音質チェックだ。
もちろん愛機ミッドランドRUSHと比較するぞ。公式HPの売値がRUSHより高いんだから文句ねぇよなぁ！？
オーディオ音質
まずはスマホにBluetooth接続してオーディオの音質から。
最近話題の女児アニメの皮を被ったシンフォギアことプリンセッション・オーケストラOPを再生して聴き比べてみる。
ほう！期待していなかったが意外と頑張ってるんじゃないかX6S。
ダイソーイヤホンみたいな音質を想定していたが、思いのほか低音も出て十分実用的だ。
具体的に言うと、音質そのものはやや籠もっていて安っぽくあるが、低音と高音だけは何とかしようと頑張っている気持ちが伝わってきている。昔使ってたSENAのローエンドインカム程度には聞こえるぞ。
流石にRUSHの音質と比べたらヤフオク管とアクラポ管ぐらいの差は出てしまうが、バイクで音楽を聞くだけなら合格点だろう。
所で気になったのが音量レバー。
このインカム、なんと本体の音量が存在しない。安いヘッドセットとかにありがちだが、音量レバーを動かしてもスマホ画面の音量バーが動くだけだった。
あースマホ接続だからかな～流石に他社インカム同士と言えどインカム通話中であれば音量調整ぐらい出来るやろ！と思って、愛用のミッドランドRUSHにユニバーサルインターカム接続してみたが音量調整レバーは無反応。
？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？？
という事はなにか。
多数派のメーカー同士がインカム通話している時にマイナーメーカーのジェスマイクが混じる形になるのが殆どだと思うが、その際ジェスマ勢は音量調整すら出来ないということか。人生つらいなぁ。
※なおこの件に関して公式に問い合わせてみた所、ボリュームが動作する条件として
- 同じX6S同士、またはジェスマイク製インカム同士
- X6S（ユニバーサルインターカム（親）） → 他社インカム（スマホ接続モード（子））
に限るようだ。
つまり今回試したミッドランド公式の取説にあるRUSH（ユニバーサルインターカム（親））→ X6S（スマホ接続モード（子））だと、ジェスマ公式のやり方とは異なり親と子が逆転している。
そのせいでRUSHとX6Sは互いをインカムではなくスマホだと認識し音量調整が動作しなかった…ということになるのだが。
X6Sに搭載されている音量調整機能というものは、ボリュームダイヤルを回せば変化する独立したアンプの様なものではなくて、接続相手や接続方法に依存し特定の状況でないと動作しないって…コト！？
これだから謎中華品はおもしれぇんだ。
マイク音質
適当なバイクおじを拉致ってインカムとスマホをBluetooth接続した状態でLINE通話し実験してみた所、「お前の滑舌が悪い以外はBluetoothマイクっぽい普通の音質」だそうで、音質は上位機種に比べ劣っておらず実用には耐える様だ。
唯一風切り音・エンジン音がデカいのが気になるようで、有名メーカーだと本体に搭載されたノイキャンが働き軽減されるがX6Sは大迫真にゴヒャオオオオオオオ！！！と聞こえるっぽい。それでも相手が不快なだけで会話は可能なレベルだから、ひとまずヨシとしよう。
ただし半ヘルやシールドを開けたジェッペルorシスヘルだと風切り音問題が出るかもしれない。
その他のシステムに関して
有名メーカーでは上位機種にしかない「音楽やナビをスマホで聞きながら通話可能」および「ミュージックシェアリング」搭載というのは、この価格帯でも搭載している所は利点。何か聞きながら通話していたほうがコミュ障には助かるしな。
ただし、これも手放しで喜べる訳ではなく、ミュージックシェアリングが機能するのはX6S同士のペアリングに限るようで、他社インカムのミッドランドとの接続においては機能しなかった。
これがどういうことかと言うと、ツーリングの場においては他の有名メーカーが圧倒的シェアを誇る。
という事は、ジェスマイク勢は少数派どころか誰一人居ないという事も当然有り得るわけで、他メーカーのインカムの輪にユニバーサルインターカムで混ぜてもらうシチュエーションが殆どになるだろう。
つまり最初からミュージックシェアリングが使える状況なんてそうそう有り得んのだ。
少し擁護しておくと、お友達や夫婦でペアツーリングやタンデムするならジェスマ製品で揃えてもいいかもしれないな。でも結局は他の人とツーリングする事を想定したら有名メーカーを買っておいた方が後々便利じゃないか？と思うのは普通のことだろう。
ジェスマイクが圧倒的シェアを奪取し、石を投げたらジェスマに当たる世界が来る日を信じて。
総評
それで結局このインカムは買いなのか。
言えるのは有象無象の謎中華品よりは性能・防水性において優れているということ。
正直な所、ライバルの価格帯にはデイトナやコミネのインカムが有り、もう少しお金を出せばビーコム・SENA・ミッドランド・カルドと選び放題。友達ライダーと繋げやすいよう同じメーカーを選ぶ傾向が強いインカム界隈で、わざわざマイナーなジェスマイクを選ぶ理由があまりないのも事実だ。
なのでジェスマが競う相手は有名メーカーではなく、他の謎中華品である。
amazonセール中（2025/4/17現在）なら実売価格で1.7万、音質も実用的なレベルで防水性も高い。技適すら取っているか分からん正体不明な謎中華品よりはちゃんとしており、BB先輩の墓場より魑魅魍魎が跋扈してる謎中華界隈でも真面目にやってる所は評価できる。
もし電飾が好きでインカムにコストをかけたくなくて、ガジェットの見た目にも興味なくて、主にソロツーリング中心であまり通話を使わないライダーであるなら。
その上でamazonのセール期間中であれば、下手な謎中華品に手を出すよりかは購入候補として考えても良いかもしれない。
