あなたの側にいる弁護士がいます。
去年の6月、栃木キャンツーに向かう途中、不幸にも白塗りの乗用車に追突されてしまう。車の主、老婆に言い渡された示談の条件とは…。以前ケツを掘られた事故の示談が済んだので、事故ってからの流れを日記として書いておく。
もし事故に遭遇したときでも慌てず対処するためライダーは参考にしてクレメンス。
事故の経過
2016年6月:事故発生
宮城から栃木へ向かっている途中、フェザーS2くんに乗り信号待ちしてた私は老婆のセダンに追突され前方に吹っ飛び倒れたバイクに挟まれる。
わし
- ムチウチ、右半身打撲
- 右足小指~薬指付近の骨折
- 右足捻挫
フェザーS2くん
- マフラー、フェンダー周り破損
- 右側のフォーク、カウル、ハンドル周り破損
この時点でバイクの破損個所は不明で自走可能なのか分からず、また右足を負傷して地面に足を付くだけで激痛が走りバイクでの走行どころか歩行も困難である。フルアーマーコミネマンだったお陰で右半身は打撲ですんだようだ。
警察、救急車、保険屋に連絡
シルバーアタックだったけど幸いにも冷静かつ誠実な老婆だったので、安否確認と謝罪の後に警察と救急車をすぐさま手配した模様。
私は最初右足負傷につき立ち上がることが難しく、ボディチェックをしていると付近を通りかかったライダーが救援に来てくれて、バイク共々起こしてもらえた。バイクは近くのライダーズカフェのオーナーが病院で検査受けている間保管しようかと申し出てくれたためお願いしていると警察と救急車が到着。
警察の到着が遅い場合は加害者の名前と連絡先を確認する必要があるけど、警察がやってくれたので救急車に揺られながら保険屋と電話で話をする。
病院で診察
病院で検査受けて打撲、捻挫、ムチウチの判定を受ける。足は骨折していたけど患部が腫れているためこの時点では発見できず打撲とねんざ判定。足を引きずればギリギリ歩ける程度なので入院不要となり即日退院。
保険屋から代金はすべて建て替え領収書を保管してほしい、建て替えた分は後から支払う。また車両のレッカーは必要かと連絡があり、自走可能かわからないので一先ずレッカーは手配する。
ちなみに「交通事故で病院にかかると健康保険証が使えない」と言う話があるけど、私の場合も健康保険使えないからと病院の窓口で言われたので、丁度電話中だった当方の保険屋に本当に使えないのか?と聞いてみると問題なく使えるはずだという。
そこで保険屋が使えるって言ってるんですけどぉ~と窓口のオネーハンに交渉したら「じゃあ健康保険使います」と普通に通った(謎)交通事故の治療で健康保険を使うと何か病院側に不都合があるんだろうか。
今回のような10:0の事故だと関係ないかもしれないが、治療費を自分が負担する状況になった時のために健康保険を使えないと言われたら鵜呑みにせず交渉すると覚えておこう。
警察に書類提出
調書というのは「いつ誰がどこで何した」みたいなもんで病院に警察がやってきて事故の状況や氏名連絡先などを聞かれる。停車中に突っ込まれたので10:0の人身事故だと伝えられ、また加害者の処分をどうするかを選ぶことができ
「厳罰を望む」or「キレてないっすよ」
被害者はこの2つから選択できる。
ここで選んだことはあくまで被害者が加害者に対しブチ切れているかそうでないかのアンケートみたいな感じで、厳罰を望むを選んだからと言っても加害者の処分は今までの判例と同じぐらいになるだろうと説明を受けた。判例の重い方か軽い方かの判断材料にでもなるんだろうか。救護など事故った時の動きがここに反映されるわけやな。
後は加害者と加害者側の保険屋に名前と住所を伝えていいか聞かれる。今後のやり取りに必要なので教えておこう。
続いて診断書やバイクの車検証を警察に提出だ。
これは別に後日でも構わないけど、その場合はもう一度警察署に来る必要があるそうで、その場で提出したほうが手間が少なくて済むらしい。診断書は病院で貰ったのでそのまま提出し、車検証を取るためバイクを保管してくれているライダーズカフェまで警察車両に乗せてもらい向かう(レア体験)
レッカー&自宅まで帰還
警察に車検証を提出し手続きが一通り完了すると帰っていった。
レッカーも到着したのでライダーズカフェのオーナーにお礼を言って引き上げる。
さてレッカーで車両をどこへ運ぶのかを選択しなければならない。私は宮城県在住でカマ掘られたのは栃木県なのでだいたい200kmとそこそこの距離が有るためレッカー代は10万円と少しかかる計算になる。今回私に過失が無い事故なので費用はすべて被害者持ちとなり、遠慮なく宮城までレッカーさせてもらう事にしたんだけど当方の保険屋との間で少々もめた。
曰く
「今はまだ相手の保険屋がレッカー代払うかわからないので、栃木のバイク屋に車両を預けて新幹線で帰宅してほしい。車両の修理が完了したら栃木まで取りに来い。これなら万一相手がゴネても特約で補填できる。」
これに対する私の返答は
おうおうお前怪我して歩くのも辛いってのに、ましてや宮城から栃木まで往復する手間だってタダじゃねぇんだぞ仕事休んで行けってのかオォン!?と言う訳で保険屋の提案(強要)は丁重に断りレッカーレーシングを遠慮なくやる(レ)
なおレッカー車に同乗する事も出来るけど万が一事故って怪我しても保証は出来ず、それに同意すれば乗せてもらえるそうだ。
バイク屋に預ける
地元まで帰ってきたら購入したレッドバロンに修理を依頼する。
自動車の修理だと中古で買ってもディーラーに修理を依頼することがあるため、バロンとYSPどっちに預けようか迷ったけど、YSPに聞いてみたら特別な理由がなければバイクは買った店で修理するのが一番!ラブアンドピース!とアドバイスをもらったのでバロンに預ける。壊れた個所をざっと確認して修理の見積もりを行い、後は相手の保険屋が見積もりに納得すれば修理開始だそうだ。
修理関係は事故った当日にはわからないのでひとまずタクシーで帰宅。もちろん交通費や発生した費用の一切合切は相手の保険屋持ちなので遠慮なくタクシーを使おう。
後日
事故った当日は土曜日だったので平日にならないと保険屋の担当は決まらず話は進まない。月曜日になると相手保険屋と当方の保険屋から担当者が決まった旨の連絡が有る。10:0の事故だと当方の保険屋は介入できないのであんまり関係ないけど、後々弁護士特約を使うため担当の名前はメモっておこう。
相手保険屋とのお話し:物損(装備品)
まずは物損のお話し。
バイクの修理や装備の修理・買い替えなどの費用を相手保険屋に請求する。
バイクの修理はまだ見積もりも出てないし、とりあえずバロンにお任せしているので先に装備品の請求を行おう。俺のメットとインカムとコミネジャケットに傷がついたじゃねぇか!とか、バイク倒れた衝撃でスマホ割れたんだよなぁ!?とか、身に着けている物およびバイクに積んである物でダメージを負ったであろう全てを遠慮なく請求する。
小さな傷がついただけだろうと、まともな保険屋ならしっかり金を払ってもらえるので、グローブ一つホムセン箱一つステッカー一つに至るまで情け容赦なく全部請求だ。
さて請求方法は領収書やレシートの提出なんだけど、そんなもの保管してるわけもなく大半は処分してしまっていた。
こういう「いくらで買ったか」がわからない時は「いくらで売られているか」を証明すればいいそうでwebページまたはカタログを印刷して提出する流れになった。ネット販売とかamazonセールで安売りされている値段ではなく、メーカー公式HPにある税込み定価で請求しなければならない。半額ワゴンセールの価格で請求しても損をするだけ。
なんやかんやで装備品と箱の蓋に積んである物を合計二十数万円ほど請求し、そこから減価償却で「1~2年使用しているものが多く、時間経過で当時の価値から1~2割下がっているため」と十数%割り引かれた額を賠償しますという話でまとまった。
基本的に装備品の賠償は定価丸々帰ってくることはないのでまぁ仕方がない。納得できる範疇だし同意してこれにて装備品の物損は終了だ。
次はバイクの修理と怪我と示談金のお話しに進もう。
相手保険屋とのお話し:物損(バイクの修理)
バイクは見た目ほど重症ではないようで修理費だいたい25万ほど。
右側にぶっ倒れたことでバイクの右半身にだいたい傷が入った感じだが、走行に支障が出ないような外装の傷一つ単位で全部請求しよう。
あー…そこはちょっとすり傷入った程度だからええよええよ!で済ましてしまった箇所もあってちょっともったいなかったな。後で自分でバラしたらカウルステーがちょっと曲がってることに気づいた。
何やかんやカッティングシートで自作したデカール類や社外パーツも全部補填されたのでまぁいいか。
なお修理は相手の保険屋がゴネて払わないケースもあるため、修理代金の振り込みが有って引き渡しという流れになり戻ってくるまで最短2か月はかかるそうだけど、今回10:0なので大丈夫だろうと修理に預けてから1か月で戻ってきた。
なおバイク屋に行くまでの交通費も相手持ちなので遠慮なくタクシーで行こう。
物損は決着
以上、物損に関してはおおむね納得できる結果だったので弁護士特約は使わずケリが付いた。
修理とか装備品の弁償とかで相手の保険屋の言い分が気に食わなかったら、すぐ自分の保険屋か弁護士に相談して妥当かを聞いてみよう。特に被害者側が女の子だったり無知ムチ❣なキッズだったりすると案外ナメた金額を提示して押し切ってくることもあるそうなので、困ったら自分で判断する前に保険屋か弁護士に相談するのが一番!搾り取るだけ絞り取ろう。
けがの治療と示談金
さて通院のお話しだ。
事故のけがを治療するため病院に通う必要があり、どこの病院に通うか相手の保険屋に伝えよう。そうすれば診察代は相手保険屋が立て替えてくれるので財布を持たずに通院できるようになる。
ひとまず足と首を治療するため整形外科に通うことにした。
事故当日の診察では患部(骨)が腫れており骨折は発見できなかったが、1週間後腫れが引くと骨が欠けてヒビが入っている事が明らかになった。交通事故では数日後に症状が悪化するのはよくある事だそうで、新たな診察結果は相手保険屋に通達される。
ここからは通っている病院によって対応が異なってくるけど、今回お世話になった整形外科では1か月に2~3度の診察を行い、とりあえず骨がくっ付くまで面倒を見る。痛みが続いてもあとは知らん。という案外ガバガバな所でだいたい3か月ほど通った。
整形外科の治療が終わると相手保険屋からもう怪我治ったよね?示談するよね?という電話が早速かかってきたので、伝家の宝刀「まだ首も足も痛いでしゅ」を行使し整骨院に通うと宣言。
まぁ実際のところ重たいヘルメットを被って距離を走ったり、バイクに乗ってブレーキペダル踏むと普通に痛いのは確かだったけど、相手保険屋は示談金増えるのが嫌なのか、何とか整骨院ルートを回避させようとゴネるが知ったことではない。
最終的にそれってあなたの感想ですよね?なんかそういう法律あるんですか?で整骨院への通院をgetさせた。
1年後
なんやかんやで1年間整骨院に通院しました(照れ)
しかしクソクソ&クソの社畜の身なので19時で閉まるような整骨院に頻繁に通えるわけがなく通院回数は少なめ。整骨院に毎日1年間通い続けると、障害認定貰えて示談金が増えるらしいんだけど今回は難しい感じだし、まぁ長引いたが治ったと思われるので良いだろう。
そして相手保険屋から提示された示談金は
1◯万円
は?(圧)
理由は通院回数が少ないから軽症と見なされたようで、後々わかるけど1◯万はかすり傷を負った程度の最低額だった模様。お前ガキの小遣いじゃねぇんだぞ!申し訳ないけどこれで示談はNG。
そこで当職の登場ってわけだ!
早速頼れる仲間、もとい弁護士に相談だ。
当方の保険屋に弁護士特約を使うと伝えると、地元の弁護士先生を紹介してもらった。
書面や電話で色々とやり取りを行うと、やはり示談金の相場から考えてもガキの小遣いはあながち間違いではないぐらい低い額を提示しているとの事。相手保険屋と交渉するからちょっと待つようにとの連絡から1か月後、弁護士事務所に呼び出されて見せてもらった新たな示談金は…
9◯万円
オッpp…入っていてよかった弁護士特約!
だいたいこれぐらいが10:0・入院無し・骨折有りの相場だそうで、訴訟(きそ)して搾り取るなら3桁万円まで狙える可能性もあるけど当然相手保険屋は反論してくるし更に時間かかるから判断は任せるよとの事。少々悩んだけど加害者に恨みもないし事故から1年以上経過しているので、この辺が落とし所さんだろうと判断。
これにて示談し今回のカマ掘られ事故は全て片が付いた。ありがとう地元の弁護士先生…
結果
請求した合計の費用としては物損と人身合わせてだいたい3桁万円台。
もし私がゴネまくりの激ヤバ人間だったら通院ラッシュからの障害認定getして訴訟(きそ)開始すると+50万ぐらい請求できそうな気がするな。流石にやらんけど。
安いバイクに突っ込んだだけでこれなんだから、もしトヨタセンチュリーに突っ込んだサッカー部員とか居たらえげつないことになりそうですね…任意保険入ってないと死ゾ。
しかしほんとうに弁護士特約に入っておいてよかった。
弁護士パワーでキッズの小遣いが大いに化けたのは素晴らしい。法律に対しムチ無知❣な素人では慰謝料を出し渋る相手保険屋と交渉しても勝ち目が薄く、ほぼ満額を搾り取ることは難しかっただろう。
教訓
- 年寄り運転はヤバイ。
- プロテクターは付けよう。ただし大型バイクに挟まれたら骨は折れる。
- 任意保険には入っておこう。バイクに軽く突っ込むだけでも加害者側は最低でも3桁万円は飛ぶ。
(自賠責あるじゃんと思いがちだが実は修理代には使えない。しかも自賠責の怪我に対する支払限度額は120万円なので残りの金は自腹で払う羽目になるら覚悟決めろ) - 保険会社は金を出し渋るし嘘も言うので疑ってかかろう。ひろゆき構文になると無理が通る場合もある。
- 疑問に思ったら弁護士に相談しよう。
- 任意保険の弁護士特約には入っておこう。声なき声に力を。
今回は幸いにもバイクは事故前より綺麗になりライダーも後遺症など無く完治したから言えるけど、怪我は猛烈に大変だったが示談金はありがたかった。なるほど過去に当たり屋が蔓延るわけですわ。